
オンラインゲームでPing値が気になるとき、回線を変更したり、ルーターを買い替えたりする前に確認しておきたいことがあります。Ping値には、改善できる遅延と、通信先までの距離によって避けにくい遅延があるからです。
Ping値って下げられる?

Pingが25msなんだけど、20ms以下にするには10Gbps回線が必要なのかな?

ちょっと待って~✋️
まずは遅延の原因を調べよう。通信距離などが原因の遅延は、回線速度を上げても大きく改善しないことがあるよ。

この記事では、Windows 11でのPing測定方法、症状別の原因の切り分け、Pingの遅延を改善するための7つの確認・対策を紹介します。
Pingや通信経路、QoSやルーター選びをさらに詳しく確認したい場合は、上の関連記事もあわせてご覧ください。
最初に確認|Ping値が高い原因
以下の簡易診断で、当てはまる症状を選んでください。該当する確認方法へ移動できます。これは原因を断定する診断ではなく、調査の出発点です。

Windows 11でPingを測る
まず「何に対するPingを測るか」を決める
Ping値は、測定する相手によって変わります。
そのため、数値だけを見るのではなく、「どのIPアドレス・通信先に対して測定したPingなのか」を確認することが重要です。
| 調べたいこと | 測定先 |
|---|---|
| 自宅LANの状態 | 自宅ルーター/デフォルトゲートウェイ |
| 外部通信の基準 | 1.1.1.1などの外部ホスト |
| 実際のゲームの遅延 | 現在接続しているゲームサーバー(※pingに応答しない場合あり) |
| リージョン・DCの違い | 比較したい各接続先 |
FPSなら実際のマッチサーバー、MMORPGなら利用しているデータセンターやゲーム側の接続先など、ゲームや目的によって測る相手は変わります。
実際のゲームサーバーまでのPingを測りたい場合は、そのゲームサーバーのIPアドレスに対してPingを送る必要があります。
1.1.1.1などへのPingは、外部ネットワークまでの応答時間やパケットロスを見る基準には使えますが、ゲームサーバーへのPingそのものではありません。
ただし、ゲームサーバーによってはPing(ICMP)に応答しない場合があるため、その場合はゲーム内の接続品質表示なども確認します。

測定方法
スタートメニューで「cmd」と検索し、コマンドプロンプトを起動します。まず外部通信の基準を確認する例として、次のコマンドを入力します。
ping -n 20 1.1.1.1
-n 20は、Pingを20回送信する指定です。指定しない場合は4回なので、回数を増やすことで最小・最大の幅やパケットロスの有無を確認しやすくなります。
1.1.1.1はCloudflareの公開DNSサービスです。この測定でわかるのは、指定した相手への応答時間と損失です。
ゲーム内の遅延を知りたい場合は、ゲームが公式に提供する接続品質表示や、適切に特定した実際の接続先(IPアドレス)を確認してください。
測定画面の例
測定したものの、どこを読めばいいのかわからない。以下は実測のスクリーンショットではなく、Windowsの表示形式を再現した説明用の図です。数値も架空の例です。

| 表示項目 | 意味 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 平均 | 応答時間の平均 | 同じ相手・同条件で比較 |
| 最小/最大 | 応答時間の幅 | 大きな跳ね上がりがないか |
| 損失 | 応答が返らなかった割合 | 継続的な損失がないか |
| TTL | 応答パケットに残っていたTTL値(中継のたびに減る値) | Pingの良し悪しを示す数値ではない |
注意:平均20msや最大24msという値だけで「正常・異常」は決められません。通信先やゲームの種類によって判断が変わります。ICMP応答が制限される相手では、損失が表示されてもゲーム通信の損失とは限りません。
tracertで通信経路を確認
pingは指定した相手までの応答時間を確認するコマンドですが、tracertを使うと、目的地までの途中でどの中継機器(ホップ)を通っているかを確認できます。「どこから遅くなり始めているか」を考える手掛かりとして使えます。
tracert -d 1.1.1.1
-dを付けると、中継機器のIPアドレスを名前へ変換する処理を省略するため、結果が返るまでの時間を短くできます。まずはPingを測った相手と同じ宛先で確認すると比較しやすくなります。
以下は実測結果ではなく、tracertの表示形式を再現した説明用の図です。IPアドレスと数値は説明用の架空例です。
ゲームの経路を確認したい場合は、実際の接続先を適切に特定できた場合に限って測定し、推測したIPアドレスだけで判断しないようにしましょう。

| 表示 | 意味 | 見るポイント |
|---|---|---|
| 1、2、3… | 目的地までに通るホップ番号 | どの段階から応答時間が増えるか |
| 3つのms値 | そのホップまでの往復時間を3回測った値 | 1回だけではなく、後続ホップも含めて見る |
| IPアドレス | 途中のルーターや中継機器 | 経路が変わったときの比較材料になる |
| * | 制限時間内に応答が返らなかった | それだけで障害とは判断しない |
tracertを見るときの注意:途中の1ホップだけ応答が遅くても、その次のホップ以降が通常の値へ戻っているなら、その場所が通信全体のボトルネックとは限りません。また「*」が表示されても、中継機器がICMP応答を返さない、または応答を制限しているだけの場合があります。表示される経路は自分から目的地へ向かう側を調べるもので、戻りの通信は別の経路を通る場合があります。
tracertだけで、実際の光ファイバーの物理的な経路長やデータセンターの住所を特定することもできません。同じ通信先・同じ時間帯で結果を比較し、Pingの変化と合わせて見るのがポイントです。
症状別どうすれば改善できる?

夜だけPingが高い
朝・昼・夜に同じ通信先を測り、結果を記録します。夜間だけ大きく悪化するなら、回線・ISP・途中経路・ゲームサーバーなどの混雑が候補です。宅内のダウンロードを止めても改善しなければ、契約先に測定日時と結果を伝えて相談しましょう。PPPoE/IPoEの違いも確認対象ですが、変更で必ず改善するわけではありません。
常にPingが高い
まず近い測定先と実際のゲーム通信先を混同していないか確認します。有線LANでも常に同程度で、損失や大きな変動がなければ、通信距離・経路など固定的な要因も考えられます。ただし「安定している=距離が原因」とは断定できません。異なる接続先との比較や、ISPへの経路確認も有効です。
ゲーム中に急にPingが跳ねる
Wi-Fiの電波干渉、大容量のアップロード・ダウンロード、ルーターの負荷などを確認します。まず有線LANにし、ほかの端末の大容量通信を止めて比較してください。宅内で大容量通信をしているときだけ悪化する場合は、ルーターが対応していればQoSや適切な帯域制御を検討できます。
パケットロスが出る
LANケーブルやWi-Fiの状態を確認し、まず自宅ルーター(Windowsのipconfigで表示される「デフォルト ゲートウェイ」)と、外部の複数の測定先で結果を比較します。ただし、pingに応答しない機器やICMPを制限する相手は存在します。pingで応答がない=実際のゲームパケットが失われているとは限りません。ゲーム側の通信品質表示も併せて確認しましょう。
Pingの遅延を改善するための7つの確認・対策
- 有線LANにする:Wi-Fi由来の不安定さを切り分ける
- 大容量通信を止める:アップロード・ダウンロード時の混雑を確認する
- QoSを使う:ルーターが対応していれば、宅内の通信が混み合ったときにゲーム通信を優先する
- 時間帯を比較する:混雑が疑われる時間帯を特定する
- 接続方式を確認する:PPPoE/IPoEや契約プランの仕様を調べる
- 宅内機器を点検する:ルーター負荷、ファームウェア、配線不良を確認する
- ゲームの接続先を見直す:選択可能なら、実測で遅延の少ないサーバーを選ぶ
上から順番に試せば、買い替えなしで改善できる原因を先に確認できます。ルーターや10Gbps回線への変更は、問題の発生箇所を絞ってから検討しましょう。
光ファイバーの限界
光ファイバーには伝搬速度による物理的な限界があります。一般的なガラス製光ファイバー内で、信号が伝わる速度はおおむね秒速20万kmです。片道1,000kmの光ファイバー経路を往復すると、伝搬時間だけで約10msかかります。
| 片道の光ファイバー経路長 | 往復の伝搬時間(概算) |
|---|---|
| 100km | 約1ms |
| 500km | 約5ms |
| 1,000km | 約10ms |
| 1,500km | 約15ms |
| 2,000km | 約20ms |
| 3,000km | 約30ms |
※表の経路長は、地図上の直線距離ではなく、実際に敷設された光ファイバーの長さです。ケーブルは中継設備などを経由するため、一般に直線距離より長くなります。また、往路・復路の経路長が同じと仮定した概算で、設備の処理時間や混雑は含みません。実際には往路と復路が異なる経路になる場合もあります。
したがって、片道2,000kmの光ファイバー経路を使う場合、伝搬時間だけで往復約20ms必要です。同じ経路のまま10Gbps回線や高性能ルーターに替えても、光の伝搬速度は変わりません。一方、ISPの変更などで経路自体が短くなれば、遅延が改善する余地はあります。
ゲームサーバーのデータセンター所在地や、そこまでの物理的な配線経路は公開されていない場合もあります。そのため、利用者が正確な理論上の最小Ping値を求めることは簡単ではありません。
「20ms以下」のような数字だけで回線品質を判断せず、実際に遊ぶゲームの接続先と、Pingの安定性を確認することが大切です。

DNSをプロバイダ指定から変更するとPingは下がる?
インターネット接続では、通常はプロバイダやルーターから自動的に指定されたDNSサーバーを利用します。DNSは、ドメイン名を通信先のIPアドレスへ変換する仕組みです。
Cloudflareの1.1.1.1やGoogle Public DNSの8.8.8.8など、プロバイダ以外の公開DNSへ変更することもできます。Cloudflareも、端末やルーターでISP提供のDNSから1.1.1.1へ変更できると案内しています。
ただし、DNSを変更しただけで、ゲーム中のPing値が直接下がるとは限りません。
DNSが主に使われるのは、接続先の名前からIPアドレスを調べるときです。いったん接続先のIPアドレスが決まり通信を開始したあと、そのゲーム通信がDNSサーバーを経由し続けるわけではありません。
そのため、DNS変更の影響は次のように考えると分かりやすくなります。
| 項目 | DNS変更の影響 |
|---|---|
| Webサイトを開き始めるまで | 改善する場合がある |
| ゲームランチャーの名前解決 | 改善する場合がある |
| ログイン時や接続開始時 | 改善する場合があるが、体感差は小さいことも多い |
| ゲーム中のPing | 基本的には直接変わらない。ただし接続先が変わった場合は変化することがある |
| 通信先までの物理的な距離 | 同じ接続先なら変わらない |
| 回線・ISPの混雑 | 基本的には変わらない |
Cloudflareの1.1.1.1は世界各地のネットワークを利用してDNS問い合わせを処理しています。またGoogle Public DNSもAnycastを利用しており、DNS問い合わせはネットワーク上で到達しやすいGoogle Public DNSサーバーへ送られます。
一方で、DNSを変更すれば必ず速くなるわけではありません。 利用しているプロバイダのDNSのほうが応答が速い場合もあります。
また、利用するDNSによって返される接続先が変わるサービスもあります。Cloudflareの1.1.1.1は、プライバシー保護のため通常のDNS問い合わせでEDNS Client Subnet(ECS)を送信しません。サービス側の仕組みによっては、プロバイダDNSを使った場合とは異なるサーバーが選ばれ、結果としてPingが良くなったり悪くなったりする可能性があります。

ゲーム目的ならDNS変更は「試して比較」でOK
Ping対策として、DNS変更を最優先にする必要はありません。
まずは有線LAN、宅内通信、時間帯による混雑、通信経路などを確認し、そのうえでDNSも変更前後を比較する方法がおすすめです。
Cloudflareの標準DNSを試す場合は、次のアドレスを利用できます。IPv6を利用している環境では、IPv6側も合わせて設定しておくと比較しやすくなります。Cloudflare公式のWindows向け手順でもIPv4・IPv6の両方が案内されています。
| 種類 | DNS |
|---|---|
| IPv4 優先DNS | 1.1.1.1 |
| IPv4 代替DNS | 1.0.0.1 |
| IPv6 優先DNS | 2606:4700:4700::1111 |
| IPv6 代替DNS | 2606:4700:4700::1001 |
変更後にゲームのPingが変わらなくても異常ではありません。DNSは通信速度を上げたり、同じゲームサーバーまでの物理的な距離を縮めたりする仕組みではありません。
1Gbpsから10GbpsにするとPingは下がる?
1Gbps・10Gbpsは、主に利用できる通信帯域の違いです。回線混雑や帯域不足が原因なら改善する可能性がありますが、距離による伝搬時間は変わりません。現在のPingが安定しているなら、速度プランの変更だけで低Pingになると期待しすぎないようにしましょう。

よくある質問
- QPingが25msなら回線を変えるべき?
- A
25msという数字だけでは判断できません。ゲームの操作感、Pingの変動、パケットロス、実際の接続先を確認しましょう。
- Qスピードテストは5msなのにゲームでは30msなのはなぜ?
- A
主な理由として、測定相手が異なることが考えられます。近い測定サーバーの結果を、遠方のゲームサーバーへの通信にそのまま当てはめることはできません。
- Qtracertの途中に「*」があるのは障害?
- A
必ずしも障害ではありません。中継機器がICMP応答を返さない、または応答を制限している場合があります。
まとめ|環境を変える前に、改善できる遅延を見つけよう
Pingを下げるには、まず同じ通信先に対して測定条件を揃え、時間帯・有線LAN・ほかの端末の通信量を比較するのがおすすめです。改善できる遅延と、物理的に避けにくい遅延を分けて考えることで、不要な回線変更や機器購入を避けやすくなります。

Pingの数字だけで、すぐに「回線が悪い」と決めなくていいのね?

そうだね。有線接続や混雑の確認から始めて、最後に通信距離による限界も考えよう。
宅内ネットワークを細かく改善するならRTX840も選択肢
原因を切り分けたうえで、宅内の混雑対策やゲーム通信の優先制御を細かく設定したい場合は、ヤマハのギガアクセスVPNルーター「RTX840」も候補です。QoSの優先制御・帯域制御に対応しており、通信をIPアドレス・プロトコル・ポート番号などで分類して制御できます。
ただし、一般的なWi-Fiルーターとは性格が異なり、設定にはある程度の知識が必要です。RTX840には無線LAN機能は内蔵されていないため、Wi-Fiを利用する場合は別途無線LANアクセスポイントが必要です。またLAN/WANポートは1GbEのため、10Gbps回線を10GbEでそのまま収容する機種ではありません。通信距離やISP側の経路がPingの主因なら、ルーターをRTX840へ替えるだけでPingが下がるわけではありません。
参考にした公式資料
- Microsoft Learn:ping(測定コマンド)
- Microsoft Learn:tracert(経路確認)
- ITU-T G.652(標準的な単一モード光ファイバーの特性)
- Cloudflare Docs:Set up 1.1.1.1 on Windows(DNSアドレス・Windowsでの設定方法)
- Cloudflare Docs:1.1.1.1 FAQ(DNSの仕組み・ECSに関する仕様)
- Google Public DNS:Frequently Asked Questions(AnycastによるDNS問い合わせの経路)






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