
会えないけど、親密な頼りになる関係 ~会うことは考えずに~
ゲームの中で顔を合わせて遊び始めてから、気づけばもう数年が過ぎていた。
けれど、二人は一度も会おうという話はしなかった。
「会うって、なんだか不思議な感じがする」うさがある日ぽつりと言った。
「うん。リアルで会ってしまうと、今のこの関係が変わってしまいそうで怖いな~」ねこも同意した。
それは、遠く離れているからこそ築けた、声とゲームを通じた純粋な信頼だった。
忙しい毎日の中で、物理的に会うことは叶わない。
でも、毎晩決まった時間にログインし、ゲーム内で一緒に戦い、ボイスチャットで話す時間は欠かさなかった。
「今日も疲れたけど、うさの声を聞くとホッとするよ~」ねこが言う。
「離れてても、こうして繋がっていることが私の支えになってる」
二人は顔を知らず、姿も見えないけれど、言葉と声だけで深く繋がっている。
会うことを求めず、むしろその距離が彼らの関係を特別なものにしていた。
「もし会ったら、この感覚は壊れてしまうかもしれない」
「今のままでいいんだよ」
互いの気持ちを理解し合い、頼りにし合う。
離れていても、二人の絆は固く結ばれていた。